いままでインフルエンザワクチンは注射ワクチンでしたが、昨年から注射ではない鼻の中に噴霧するインフルエンザワクチンが承認されました。フルミスト点鼻液といいます。
両側の鼻腔に1噴霧ずつします・1回接種で終了です。適応は2歳から19歳未満で2歳未満・19歳以上は適応外です。
Q:いままでの注射のワクチンと違いは何ですか?
A:フルミストは生ワクチンです。すなわち弱毒化したインフルエンザを鼻腔に噴霧します。従来のワクチンは不活化ワクチンです。
Q:フルミストの利点は?
A:鼻の中に噴霧することは痛みを伴いません。注射は痛いから予防接種の際は大泣き・大暴れするお子さんとっては絶対的なメリットになります。
Q:フルミストの副作用はどのようなものになりますか?
A:生ワクチンなので、弱毒化されたインフルエンザが生きています。インフルエンザのような症状がでることがあります。
フルミスト接種後の14日後までの副作用を以下の表に示します。
Q:生ワクチンなので、フルミストを接種したら周囲に感染することがあるのですか?
A:フルミスト点鼻液1~2週間後は、家族が感染する(水平伝播)可能性があります。
日本小児科学会は不活化インフルエンザワクチンとフルミストの両方を推奨しますが、喘息患者には不活化ワクチンの使用を推奨しています。フルミストはワクチンウイルスの水平伝播の可能性があるため、授乳婦・周囲に免疫不全患者がいる場合は不活化ワクチンを推奨しています。
Q:フルミストは、不活化インフルエンザワクチンより効果はあるのでしょうか?
A:もちろん予防効果がありますが、不活化ワクチンよりも効果が高いとする報告はまだでていません。新しく承認されたワクチンなので、まだ比較検討できるデータがありません。
Q:フルミストが接種できない人は?
A:2歳未満・19歳以上の人・喘息治療中の人。心疾患・肺疾患・糖尿病・神経性疾患など慢性疾患をもつ人・免疫不全者と接触をもつ人・アスピリン内服中の人・妊婦・妊娠の可能性のある人・重度の卵アレルギーの人。
Q:どちらを推奨しますか?
A:昨年はインフルエンザが大流行しました。おそらくコロナ禍でインフルエンザの集団免疫が低下してしまっていたのでしょう。僕は、インフルエンザワクチンはどちらも推奨しますが、注射が大嫌いな子はフルミストでしょう。
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