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オりオノクリニック月報
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2025年10月

泉門(せんもん)の説明

赤ちゃんの頭の骨を構成する骨と骨の間にある隙間のことです。初めて赤ちゃんに接する人は頭に穴があいているので驚くのかもしれません。穴ではなく、丈夫な繊維製の膜でしっかりと保護されており、その下にある脳を守っています。しかし骨ではなく膜ですから強い刺激を与えないように気を付けてください。洗髪したり着替えをしたり日常的な事には全く安全です。ひし形で前方の大きいほうが大泉門で三角形の後方の小さいほうが小泉門と呼びます。

Q:泉門はなぜあるのですか?
A:赤ちゃんが産道を通る時に頭蓋骨に余裕がなかったら、頭蓋骨が産道内で圧迫骨折するかもしれません。泉門により頭蓋骨の一時的な変形が可能になり、産道を通過しやすくなります。そして 出生後の赤ちゃんは脳の発達のスピードが速いので、急激な脳の発達のためのスペースを確保しているのです。

Q:泉門はいつ頃に閉じるのですか?
A:小泉門は2~3か月くらいで閉鎖します。大泉門は6~24カ月くらいで閉鎖します。個人差があり、例えば大泉門が2歳を過ぎて開いていたとしても、発達を含めて全身的な問題なければ個人差と考えます。

Q:泉門で気が付くような病気はありますか?
A:泉門が早期に閉じてしまうことは、頭蓋骨早期癒合症という病気のサインである可能性があります。頭蓋骨を形成する骨と骨の縫合と呼ばれる継ぎ目が、通常より早期に癒合してしまう病気です。そのために頭蓋骨の正常な成長が妨げられ、頭蓋の変形をきたすだけではなく、脳の成長に対応できずに神経的障害を起こす可能性があります。
一方、泉門がなかなか閉じない場合は、個人差によることが多いですが、クル病・先天性甲状腺機能低下・水頭症などが考えられます。

Q:泉門が膨隆したり、へこんだりする状態はありますか?
A:赤ちゃんが泣いたり・咳をしたり・嘔吐したりするときに、一時的に泉門が膨らむのは、生理的な現象で正常です。持続的に膨らんでいる状態は頭蓋骨の中の圧力が異常に上昇していることを示しており、髄膜炎・脳炎・水頭症・脳外傷等を考えます。もちろんその時には、発熱・ぐったりする、嘔吐する・哺乳不良・痙攣などの症状を伴います。
一方、泉門が、へこんでいる時は脱水症状なのかもしれません。ぐったりしているなら早期の受診が必要です。




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