2025年になってから百日咳感染が増えているのを実感します。
もう2週間以上咳が続きます、発熱はないのですが、咳が多くてつらいです。このような症状の患者さんには百日咳感染の可能性があります。
百日咳は百日咳菌に感染することにより発症します。潜伏期は1~2週間で、最初は軽い咳・微熱・鼻水くらいで発症します。「軽い風邪に罹ったと思いました」皆さんそうおっしゃいます。1週間経過しても、軽い風邪症状は治まらず、咳はどんどんひどくなります。1回でると止まらなくなったり、咳込みすぎて息ができなくなったりします(しつこい咳が3~4週間くらい持続します)。ようやく咳は改善していき、普通の風邪程度の咳になります(2週間くらい)。合わせて100日の咳にはなりませんが、1~2か月の咳です。
百日咳は乳児期に罹患するととても怖いのです。生後2か月から百日咳の定期接種が始まっていますが、接種前に罹患したり、ワクチンの免疫が十分でない時期に罹患したりします(家族内感染がほとんどです)。咳がしつこくて低酸素になったり、無呼吸発作といって、いきなり呼吸が止まったりします。百日咳脳症という脳にダメージが起こる病態もあります。
実は百日咳は子供の感染症というよりは。中学生以上・大人に多い感染症になってきています。それは、乳児期に予防接種しているので、子どもは罹りにくくなっているからです。大人が罹患して、家族内感染してしまいます。
百日咳の診断検査
① 喉の抗原検査
インフルエンザ・コロナのように綿棒で拭って検査します。
百日咳菌は喉にいることが少なくて検出率が低く、陰性でも否定はできません。
② 血液検査
百日咳に罹患すると、百日咳に対する免疫反応が起こります。その免疫反応が上がってくることを確認することで診断します。罹患して早期に検査するとまだ免疫反応が上がってこないことがあり、発症して1週間以上は経過してから検査することになります。
③ PCR検査(LAMP法)
百日咳の遺伝子を増幅して検査します。精度が高い検査です。
④ 百日咳培養検査
特殊な培地で喀痰を培養し、百日咳が出現するかを確認します。結果がでるのが遅くて培養手技の難しさから、あまり行われていません。
①~④の診断検査は同時に行うことは保険診療では認められてはいません。
受診時の状態によって、検査を使い分けることになります。
治療
マクロライド系抗生剤(クラリス・ジスロマック等)を使用します。
マクロライド系が使用できないときにはST合剤を使用します。
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